知識と技術で教える演技講師タツミです。
・講師によって言われることが違って混乱している…
今回の記事は何が正しい演技なのだろうと悩んで、演技の正解を探してしまう人にとって、参考になる記事です。
多くの人が、「演技の正解」や「正しい演技」について混乱しているのではないでしょうか?
この記事を読めば「なぜ正解を探してしまうのか?」という根本的な理由を知り、どうやって取り組めば良いかがわかります。
演技に唯一の正解はない
僕は演技には「唯一の正解」はないと考えています。
演技の正解は、一つではなく、無数にあるのです。
それは人それぞれ違う価値観があり、違う反応を示すからです。
例えば部屋の温度が30度になったとして、「暑い…」といってシャワーを浴びる人もいれば、手をうちわがわりに仰ぐ人もいれば、冷たいジュースを飲む人もいます。
エアコンをつける人もいれば、扇風機をつける人もいますし、上着を脱ぐだけの人もいます。
そのどれもが反応としては正解になります。
ポイントは、その演技でシーンやキャラクターが成立するなら、どれも正解なのです。
学校教育の弊害
でも、多くの人が演技の「正解」を探してしまうのです。
これは学校教育の弊害だと思っています。
学校では、テストで必ず解答が用意されていて、それ以外は間違いと言われてしまいます。
つまり、「答えは常に一つしかない」という思考にはまり込んでいるわけです。
その結果、演技を型にはめてしまうのです。
ダメ出しをされたら、どんな演技をしたら正解なのかを探してしまって、泥沼にはまっていくのです。
僕はよくレッスンで「どういうつもりでそのセリフを言ったの?」「なんでそういう動きをしたの?」と、メンバーに質問することがあります。
こうやって質問をされると多くのメンバーが固まります。
理由は簡単、僕が求めているであろう「答え」を探しているからです。
はっきり言いますが、僕は「答え」を用意していません。
それが「成立する」なら僕は何を答えてもらっても受け入れますし、「成立しない」なら何を答えてもらっても代替案を提案します。
演技の解釈は、1つではありません。
そこには無数の答えがあり、成立さえすればどんな解釈でも正解なのです。
大事なのは、作品が成立することであり、シーンが成立することであり、キャラクターが成立することです。
その答えは1つではありません。
間違うことを恐れて、思考停止しないこと
そういう「間違ったらいけない」「正解しないといけない」という思考癖がある人は、レッスンでも思考停止しがちです。
「何が正解なんだろう?」と考えてみても、何を求められているのかがわからず、間違ったことを言ったらダメと思い込み、そこで思考停止し、黙り込んでしまいます。
学校のテストなら先生の想定している答え以外はダメなのかもしれません。
ですが、演技はテストではありません。
そこには「唯一の正解」はありません。
そして、肝心なことは「間違えたってOK」なのです。
ここが、大事なのです。
間違えてもいいのです。
わかったふりをして、誤魔化して回答されるより、堂々と間違える方がいいのです。
誤魔化して回答して、うやむやにする人いますが、それは自分のためになりません。
原因を知り、対処すること
大事なことは、シーンやキャラクターが成立するために必要なことを試すことであって、うまくいかないことをごまかすことではありません。
そして、成立しなかったら別の方法を試すだけなのです。
なぜ、そうなったのか、その理由や思考回路を、自分で理解して、自分で修正するしかありません。
パソコンのプログラムを起動してエラーが出たら、解決しなければならないのと同じです。
エラーの原因を突き止め解決しなければ、同じエラーの繰り返しなのです。
それは演技も同じです。
自分がどうしてそういう思考になったのかの原因を見つけなければ、あなたは同じような場面で同じ間違いを繰り返すのです。
答えが合っていればいいわけではありません。
それでは、いつまで経っても成長はしません。
演技はテストではないのです。
ダメ出しをもらって、答えだけ書き換えたとしても、計算式や途中式、当てはめる公式が理解できなければ、類似問題で同じ間違いをします。
それを紐解いていくためにも、あなた自身の思考回路を少しずつ変えていってください。
正解や答えを求めるような思考を手放しましょう。
正解は1つではありません。