知識と技術で教える演技講師タツミです。
・どういう進路があるの?
・声優になりたいけど何をしていいかわからない
今回の動画は、「声優になるには?」という、これから声優になりたいと思っている方に向けて、わかりやすく「進路」についてお話ししたいと思います。
声優になりたいという方が進む道は大きくわけて4つあります。
- 声優養成所に通う
- 声優専門学校に通う
- 私塾に通う
- オーディションを受ける
この4つの進路が声優を目指す人の多くが選ぶ選択肢になります。
どの進路があなたに合うかを考えるために、参考にしていただければと思います。
それでは、それぞれについて簡単にお話ししていきましょう!
声優養成所に通う
声優養成所というのは、簡単に言えば「声優プロダクションが運営する声優になるための学校」です。
プロダクション直轄になるので、マネージャーなどに見てもらう機会などもあり、目をかけてもらえるようになると、養成所生でありながら、仕事をするということもあります。
有名な養成所をいくつかあげてみましょう。
青二塾
青二プロダクションの付属養成所です。
東京校は週5日、1年間のレッスン。
大阪校は週2日、2年間のレッスン。
どちらも入所オーディションがあり、合格した方だけがレッスンに通うことができます。
東京校は大学生や社会人は通うのにスケジュールが厳しいと思いますが、大阪校であれば、大学生や社会人でも両立できるのではないでしょうか?
100万を超える授業料がかかりますが、老舗養成所でもあり講師陣もしっかりしています。
多くの養成所が週1〜3日のレッスンが多い中、青二塾の東京校は週5日です。
演技だけでなく、日舞やバレエなども行うため、俳優としてのレッスンが多く取り入れられています。
日本ナレーション演技研究所
今をときめく有名声優の多くがこの日本ナレーション演技研究所(通称:日ナレ)を経て、声優になっています。
日ナレは多くの声優事務所への進路がある特殊な養成所となっています。
アーツビジョン、アイムエンタープライズ、クレイジーボックス、ヴィムスなどなど…。
また、地方にも多数校舎があるため
・上京できないけど演技の勉強したい
・高校や大学と並行して通いたい
など、多くの声優志望の悩みを解消できる養成所となっています。
基本的に週1回のレッスンで、授業料も年間30万前後なので多くの方が第一候補で検討するのが日ナレなのではないでしょうか?
中学卒業以上となっている養成所が多いですが、日ナレはジュニア声優コースという小学生や中学生でも通えるクラスもあります。
81ACTOR’S STUDIO
こちらは81プロデュースが運営する養成所「81ACTOR’S STUDIO」です。
週4コマで1年間のレッスンを行うクラスと
週1コマで1年間のレッスンを行うクラスの2つが運営されています。
週1コマのレッスンから本科のクラスへの編入も可能であり、日曜日にレッスンを行っているため、学生や社会人でも通いやすいレッスンとなっています。
週4コマのクラスの授業料は約85万円。
週1コマのクラスの授業料は約34万円。
マウスプロモーション附属俳優養成所
マウスプロモーションが運営を行なっている養成所がその名の通り「マウスプロモーション附属俳優養成所」です。
現役で前線で活躍している講師陣が実際に指導にあたっています。
週2〜3回のレッスンで、授業料は1年間で約40万円。
1年で所属が決まるわけではなく、原則2年間のレッスンとなります。
声優養成所まとめ
他にもたくさんの声優養成所がありますので、気になる方は是非自分に合った養成所を探してみてください。
多くの声優養成所はレッスンは
・週1〜3日
・1回2〜3時間
という養成所が多いです。
週末のクラスを設けていたり、夜間のクラスを設けているところもあります。
そのため大学生や社会人でもレッスンを両立することができるようになっています。
授業料は養成所によってバラつきはあるものの、年間30〜50万というのが一般的です。
入所金、年間授業料、施設利用料や教材費としての徴収となっており、入所金は最初に一度だけ納付となるものの、授業料や教材費などは次年度でもかかってきます。
東京だけでなく名古屋や大阪など大都市に校舎を構えている養成所もあり、地方に住みながら声優の勉強もできるところもあります。
地方在住の大学生や社会人でも夢に向かって歩み始めることができるというのは、とても良いことなのではないでしょうか。
実力が認められれば、在学中でも仕事をするチャンスもあり、所属審査に合格すればそのままエスカレーター式で運営している声優プロダクションへと所属になります。
声優を目指す上で、一番イメージしやすい進路と言えるかもしれません。
しかしながら、声優養成所は「実力がある人を見つけ出す場所」であるため、勉強する場所というよりも「実力をアピールする場所」という認識で通うことが大切です。
声優専門学校に通う
次に選択肢に上がるのは専門学校に通うという進路でしょう。
専門学校の特徴としては二つ。
一つは全日制を採用しているところが多く、そのほとんどが学校法人として運営されています。
つまり、学歴としてきちんと認められる進路であるため、高校から進学する場合に説得しやすいというメリットがあります。
もう一つは、完全に初心者でも安心して学べるように、しっかりとカリキュラムが組まれているということです。
多くが2年間のカリキュラムとなっており、きちんと順を追って学ぶことができます。
卒業時には、コネクションのある声優事務所のマネージャーなどを呼び、合同オーディションなどを開催するところもあります。
有名な声優科のある専門学校を挙げてみましょう。
代々木アニメーション学院
最初は代々木アニメーション学院(通称:代アニ)です。
声優科だけでなく、アニメーター科やマンガ科、ゲームプログラミング科などサブカルチャーを中心とした専門学校では日本国内でも大手の専門学校です。
東京だけでなく、名古屋、大阪、福岡、札幌、仙台など、地方にも各地域に校舎があり、地方出身者にとってはかなり魅力的な選択肢となります。
また、大学生や社会人でも通える週一コースもあり、専門学校にもかかわらず間口の広いのが特徴です。
各地に高等部も設置されていますので、高校の卒業資格を取れる上、早く声優の勉強をスタートすることもできます。
業界内のコネクションも強く、代アニ内で行われるオーディションなどで在学中にデビューする人もいます。
ヒューマンアカデミー
ヒューマンアカデミーも日本全国に校舎を持つ、大手の専門学校です。
そのため地方にいながらでも声優の勉強をはじめることができます。
定期的に事務所の社長やマネージャーなどを外部講師として招く、「プロダクションセミナー」を開講しており、業界の今を知るための独自のレッスンも提供しています。セミナーの様子は全国の教室に配信されるため、遠隔授業の形式でリアルタイムにセミナーを受講することができます。
代アニと同じく、夜間週末のコースもあります。こちらは自分が受講したいカリキュラムを自分で選択して受けるシステムであるため、効率よく自分の学びたいことを学ぶこともできます。
卒業時にはドラフトオーディションもあり、多くの事務所が実力ある若者を探しにやってきます。
※夜間週末コースではドラフトオーディションが半年に一回とチャンスが多い
日本工学院専門学校
次は東京都の蒲田と八王子にキャンパスを持つ「日本工学院専門学校」です。
※北海道のキャンパスは声優科はないので、都内の二校のみとなります。
都内にしかキャンパスはありませんが、地方から上京する学生のために、キャンパスの近くに「学生寮」を設けています。
声優を目指すなら上京するというのが当たり前と言われていますが、上京しようと思ってもなかなか物件を探したりするのも難しいです。
進学とともに学生寮に住むことで、上京もスムーズに行えるので地方から上京して勉強をスタートするには非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
代アニと同じく、学内でのオーディションを勝ち上がることで、在学中デビューの道もあります。
アミューズメントメディア総合学院
次はアミューズメントメディア総合学院(通称:AMG)です。
代アニと同じように、全日制の声優学科と、週一回の声優専科の2つのコースから選ぶことができます。
また、地方にいながら、自宅で声優の勉強ができる「声優オンライン専科」というコースもあります。
こちらの専門学校ではインターンシップを採用しており、在学中に現場経験ができる仕組みも導入されています。
事務所所属のためのオーディオションはエントリー制となっており、自分の受けたいプロダクションのオーディションは何社でも受けることができます。
合同オーディションとは違い、各事務所ごとのオーディションを受けることになるので、合同オーディションのような一度きりのチャンスではないのも、魅力の一つと言えるでしょう。
声優専門学校まとめ
全日制の学校法人が多く、学歴として扱えるので、高校から進学する人が多いです。
学校の先生も養成所に行くより専門学校にいく方が説得はしやすいです。
また、完全初心者から学べるというカリキュラムになっていますので、これから演技の勉強をするという人も安心して通うことができます。
ただ、養成所に比べ、全日制の専門学校は授業料が高額(年間100万ほど)なので、かなりお金がかかるということは覚えておくとよいでしょう。
専門学校の一番のメリットは卒業後の進路です。
卒業時に受けるオーディションでは40社〜多いところでは100社近いプロダクション関係者が見にきます。
それだけ多くの人の目に止まれば、声優になるという意味でもチャンスが多いということです。
ただし、専門学校で学んだあとさらに声優養成所に通うことになる人も多いので、お金の面では一番必要になります。
独自の学内オーディションもあり、在学中に現場を経験できる仕組みを持っている専門学校も多いので、養成所より在学中にデビューする人の数は多いです。
チャンスが多い分、お金がかかるのが専門学校ということです。
私塾に通う
その他に演技のレッスンを行うところで言えば、俳優や声優や音響監督が開催している私塾でしょう。
僕が開講しているアクトワンのレッスンも、私塾になります。
有名なところをいくつか挙げてみましょう。
勝田声優学院
僕が通っていたのはこの勝田声優学院でした。
初代お茶の水博士を務めた「勝田久」さんが学長を勤める私塾です。
週末のクラスと平日週3日のクラスとあり、しっかり学びたい人も学業と仕事を両立したい人もどちらも対応できるようにしていました。
勝田先生もお亡くなりになり、今はもう閉校しておりますが、声優業界の一時代を築いた名門養成所でした。
今なお活躍する声優さんの多くは、勝田出身という方も多いです。
Team BareboAt
声優:緒方恵美さんが2019年に立ち上げたのが「Team BareboAt」です。
10代を中心に編成されるクラスと、20代を中心に編成されるクラスと2種類のクラスがあります。
10代のクラスは演技未経験でもオーディションが受けられますが、20代のクラスは募集人数も少なく、すでにプロフェッショナルとしての技術を身につけている人という条件がついています。
10代は初心者でも大丈夫ですが、20代は技術が身についていなければ厳しいよという優しさに見えます。
1年間週1回のレッスンとなっていますが、なんと授業料は無料。
緒方さんが本気で新人育成に力を入れていることがわかります。
ただ、オーディション選考も厳しく、募集人数も少ないため、狭き門であることには変わりありません。
声優ワークショップ
他にも私塾というよりはワークショップと呼ばれる、短期間で行われるレッスンもあります。
ワークショップと呼ばれるものでも長いもので1年間のレッスンというところもあれば、3ヶ月や1回きりというものまで、期間はさまざまです。
専門学校などで行われる体験入学でのアテレコレッスンなどのようなスタイルです。
多くの場合、特定のテーマがあって、「アテレコ」や「演技基礎」や「ナレーション」など、決まったものを短期間で磨きたいというときに探している人が多いのではないでしょうか。
地方でも劇団の演出家などが開催するものもありますし、地方の各種専門学校が校外の参加を受け付けるタイプのワークショップも開催されています。
中にはワークショップ参加者の中からキャスティングをするために開催されるものもあります。
音響監督やプロデューサーなどが開催しているものに関しては、目をかけてもらえる可能性もあるので、参加者が殺到することもあります。
オーディションを受ける
最後にお話しするのは「オーディションを受ける」というものです。
他の3つの選択肢を経た人、実力のある経験者の取る道になります。
ここで述べるオーディションには2種類あります。
- 事務所に所属するためのオーディション
- 作品に出演するためのオーディション
それぞれについて分けて説明していきましょう。
事務所に所属するためのオーディション
こちらは養成所や専門学校に通うことなく、直接声優事務所に所属するためのルートです。
多くの声優事務所が自社で運営する養成所を持っており、所属者のほとんどが養成所、または専門学校から選ばれた実力者となります。
大手事務所でも、年に一度または数年に一度、外部からオーディションによって所属を取る機会があります。
そのほとんどが年齢制限などのある厳しい条件のものになりますが、一つチャンスとして捉えてチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
81オーディション
その一つが81プロデュースが開催している「81オーディション」でしょう。
81は養成所のところでも触れている通り、自社で養成所を運営しています。
オーディションの成績優秀者は特待生としてその養成所への入所が認められたり、実力に応じて直接所属も可能です。
毎年8月1日を81の日といて、オーディションを行なっておりますので、気になる方は是非チェックしてみてください。
株式会社ブシロード主催 合同オーディション
次に紹介するのは「S・響・エースクルーエンターテイメントの合同オーディション」です。
2018年は響オーディションとしてブシロードが運営する声優プロダクション「響」が新人発掘のためのオーディションを開催しました。
2019年、2020年は上記の通り、3社合同での新人発掘オーディションを開催しています。
2021年は開催されていませんが、今後またオーディションが再開される可能性は十分にあります。
声優アワード新人発掘オーディション
最後に紹介するのは毎年開催されている声優アワードにて行われる「新人発掘オーディション」です。
こちらは複数の声優プロダクションが一同に会して、合同で行われるドラフトオーディションです。
専門学校の卒業時に行われるものと似ており、複数の事務所から声がかかる場合もあります。
その場合には、1社を指名して交渉を行うことになります。
実力があれば複数社から声がかかり、自分の希望していた事務所に所属することもできるでしょうが、オーディションの最終選考に残ったからと言って、必ずしも声がかかるわけではありません。
実力勝負、それがオーディションの鉄則です。
キャスティング公募オーディション
事務所に所属するオーディションの他にも「作品のキャスティングのためのオーディション」もあります。
数は多くないですが、年に一度、数年に一度くらいは、そういった公募オーディションが開催されています。
過去のオーディションにはなりますが、どんなものがあったかご紹介していきましょう。
東京ミュウミュウにゅ〜 声優アイドルオーディション
東京ミュウミュウにゅ〜というアニメ作品の主人公として大抜擢されるオーディションが開催されていました。
こちらはmystaというアプリ内でオーディションが行われるという形式でした。
最近は配信アプリのイベントを勝ち上がると出演できるというタイプのオーディションも多くの配信アプリで行われるようになりましたね。
こちらは、主人公として抜擢されるとポニーキャニオン系列の声優事務所スワロウへの所属も勝ち取れるオーディションでした。
Sacks&Guns!!ヒロインオーディション
文化放送やDeNA、電通など大手企業が共同でアニメを制作するプロジェクト「Project ANIMA」で制作するアニメSacks&Guns!!ヒロインオーディションもありました。
こちらは、指定のボイスサンプルを送って選抜される、一般的なオーディションスタイルで行われました。
ヒロインとして合格した方は青二プロダクションへの所属も勝ち取れるオーディションとなっていました。
からくりサーカス主演声優オーディション
最後にご紹介するオーディションは「からくりサーカス主演声優オーディション」です。
少年サンデーに連載された人気漫画の「からくりサーカス」もアニメ化の際に主演声優を一般公募でオーディションしました。
こちらはヒューマンアカデミーが後援で入っているオーディションでした。
Sacks&Guns!!(サクガン)と同じく、指定のセリフをサンプルボイスとして送るタイプの一般的なオーディション形式で行われていました。
声優になるには?まとめ
以上が、声優になりたいという方が進む4つの道でした。
- 声優養成所に通う
- 声優専門学校に通う
- 私塾に通う
- オーディションを受ける
あなたは、どの道に進むのが良いと思いましたか?
どの道に進んだとしても、決して簡単な道ではありませんが、声優になりたいというあなたの想いが叶いますことを心から願っています。
あなた自身にあった進路を選択するためにも参考にしてみてください。