知識と技術で教える演技講師タツミです。
・自分にとっていいボイスサンプル原稿って?
・オリジナル原稿の作り方が知りたい
そういった悩みを抱える方に向けてこのブログを書いています。
実は、簡単なコツを知るだけで、誰でもオリジナル原稿を書くことができるのです。
なぜなら、僕は実際に事務所の後輩やマネージャーから依頼されて、事務所が営業で使っているボイスサンプルの原稿作りから、ディレクションまで担当しているからです。
この記事では、ボイスサンプルの原稿を作るために必要な6つのポイントをお伝えしています。
この記事を読み終えるころには、あなたの魅力を120%引き出すためのボイスサンプル原稿を自分で書き上げることができ、あなたの演技を魅力的に魅せるボイスサンプルが作れるようになっています。
オリジナルのボイスサンプル原稿を作る
ボイスサンプルを作ろうと思った時に、最初に思いつくのは「既存のボイスサンプルの原稿を使う」ということでしょう。
しかし、既存の原稿を探してみても
- どうも自分の演じたいキャラクターと違う
- 探しても演りたいキャラクターがない
- 使いたいセリフがない
ということはよくあることです。
「サンプルだしそれでもいいかな?」なんて思っていませんか?
むしろ、ボイスサンプルだからこそこだわるべきなんです。
せっかくのボイスサンプルですから、自分の得意なもの、魅せたいものを100%引き出せるような原稿にしてみませんか?
それができるのが「オリジナル原稿」を作る最大のメリットです。
オリジナル原稿を作るメリット
オリジナルで原稿を作ることで、あなたの演じたいキャラクターを100%演じることができます。
キャラクターの性格も、セリフも、演じたいシーンも、オリジナルのボイスサンプル原稿を作るのであれば思いのままです。
また、あなたの苦手な言い回しを回避することもできます。
「でも、どうやってボイスサンプルの原稿を作ればいいのかわからない」
そんなあなたのために、作家でもあるタツミがボイスサンプル原稿を作ったり、手直しするときに意識しているポイントをご紹介します。
ボイスサンプル原稿を作る6つのポイント
ボイスサンプルの原稿を考えるときに意識するべきは実は6つのポイントに集約されます。
- キャラクターの性格から作る
- 人物設定から作る
- 状況や場面設定から作る
- 声質から作る
- 感情から作る
- ジャンルから作る
この6つのポイントから考え始めてみてください。
そして、他のポイントと組み合わせていくことで、セリフやシーンを作ることができます。
どのポイントを軸にしてもボイスサンプルを作ることができます。
キャラクターの性格から作る
シンプルな作り方は「キャラクターの性格から作る」ことです。
もっとも作りやすいのは性格から作ることでしょう。
- お人好し
- 上品
- 正直
- 情熱的
など、いろいろな性格が思いつくでしょう。
メインヒロイン、主人公などのポジティブな役を狙っていくのであれば、ポジティブな性格を中心に考えてみるのがよいでしょう。
ポジティブな性格について、理解を深めたいのであれば、僕も役作りなどで活用しているオススメの書籍があります。
- 引っ込み思案
- 意地っ張り
- 傲慢
- 臆病
などの性格が思いつくでしょう。
例えば、悪役やライバルキャラなどを狙っていくのであれば、こちらのネガティブな性格を中心に考えてみるのが良いのではないでしょうか。
ネガティブな性格について書かれた類語辞典もあります。
参考に手元においておくのも良いでしょう。
実際、演じるキャラクターはどんな性格でもいいのです。
「せっかち」「優しい」「真面目」「神経質」・・・
あなたの演じやすい性格を選ぶもよし、あなたの演じたい性格を選ぶもよしです。
性格を中心にキャラクターとセリフを作ることは多くの人が行うことなので、そこまで難しいものではありません。
人物設定から作る
次に作りやすいのは「人物設定から作る」ことです。
そのキャラクターの立場や職業、体型や年齢といった性格とは違う要素から考えるのです。
- 上司
- 先輩
- 後輩
- コーチ
などなど…。
自分の演じる役の立場や人間関係を表すようなポジションから考えてみることができます。
立場によって選ぶ言葉が変わるでしょうし、態度も変わります。
その変化を的確にセリフに書き出すために、立場を考える必要があります。
- 先生
- 弁護士
- 騎士
- 王様
- 魔女
などなど…。
自分の演じる役の「職業」によって、職業柄の振る舞いや、考え方などが反映されます。
例えば「王様」であれば、上から目線だったり、少し横柄な態度だったりするかもしれません。
また、弁護士であれば、頭の切れる言い回しや、頭の回転の速さなどが見え隠れするでしょう。
このように職業そのものの特徴を反映させる必要があるのです。
- 長身
- 太っている
- 老いている
- 若い
- 胸が大きい
などなど…。
肉体的、外見的な特徴によって、発せられる音の印象が変わります。
例えば、アニメなら小さいキャラクターは基本的に高い声だったり、体型が太めのキャラクターであれば、声も太めに作っていたりします。
また、これがアプリゲームのキャラクターをイメージしているのであれば、そのキャラクターの属性によっても変わってくるでしょう。
火属性のキャラクターと、水属性のキャラクターをイメージしてみたら、なんとなく「火属性=熱血」「水属性=クール」のような関連付けも出てくるでしょう。
一概に全てがそうとは言い切れませんが、色心理学的にも、赤と青で似たような効果があるわけですから、そのようにサンプルを作っていく分には応用も効いて作りやすくなるでしょう。
以上、3つ挙げていきましたが、これらの人物設定によって、セリフのニュアンスや、声質まで変わっていくのです。
状況や場面設定から作る
次は演じてみたい「シーン」や「場面」から作ってみましょう。
例えば、
- 勇者が魔王と対峙するシーン
- ヒロインに告白するシーン
- ヒーローが助けるシーン
などなど、自分がこんなシーンを演じてみたいというような理想のシーンや場面は誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな憧れのシーンを演じる機会を作れるのもボイスサンプルならではです。
- 漫画やアニメでの憧れのシーン
- 映画を見ていて憧れたシーン
誰にでもあると思います。
また、アニメや漫画、映画などの憧れのセリフ、言ってみたいセリフを使って考えるという方法も、ここに含まれます。
そのシーンの設定を借りて、自分なりのボイスサンプル原稿を作ってみましょう。
場面設定に困ったら、場面設定に最適な資料があります。
アニメ、漫画、小説、映画などのシーンを考えるのにとても参考になる書籍です。
僕も台本を書き上げるときなどに参考にしています。
声質から作る
自分にあった声質から考えるというのも、ボイスサンプルを作る上で重要なポイントです。
あなたは、どんな声質でしょうか?
- ハスキーボイス
- クリアボイス
- しゃがれ声
- 太い声
- 細い声
などなど、声の特徴は様々あります。
他にも声質に関わるものとしては声の音域もあるでしょう。
- 高音
- 中高音
- 中低音
- 低音
なども、声質に加えて考えておくと良いです。
どんな声を使ったボイスサンプルにするか、ということも、原稿を作る上で考えておくべきポイントです。
感情から作る
自分が表現したい感情からボイスサンプルを作ることもできます。
感情って、実は「喜怒哀楽だけでは表現できない」のです。
さまざまな感情があります。
ポジティブな感情も、ネガティブな感情も、演技にはなくてはならないものです。
ポジティブな感情からネガティブな感情まで、複数のボイスサンプルで演技の振れ幅を提示できると良いです。
ボイスサンプルはどんな声が出るかのサンプルだから演技は聞かない
という方もいますが、実際声質で選ばれたけれど、演技がダメで降板になったり、配役変更になるという話はあります。
使っている声質で感情を表現できるかどうかは、声のコントロールをはかる一つの指針となります。
僕がキャスティングをする際にはとても大切にしているポイントです。
無理して作った声だと、感情表現ができないのです。
その声でどんな感情が表現できるかというのポイントから、ボイスサンプルを作るというのも、意識していただきたいポイントです。
感情に関しても類語辞典シリーズでオススメのものがあります。
感情に関する記事のときに詳しく紹介させていただきますが、表現者として手元においておきたい書籍の一つです。
作品媒体やジャンルから作る
最後のポイントは「作品媒体」からセリフを考えるということです。
- 子供向けアニメ
- 深夜アニメ
- アプリゲーム
- 洋画
などが挙げられるでしょう。
どんな作品に出たいかによって、ボイスサンプルの原稿を作る必要があります。
洋画の吹き替えをしたいのに、アニメ向けのボイスサンプルしかないのだとしたらどうでしょうか?
また、子供向けアニメを狙っているのに、エッチで際どいセリフしかなかったら?
どのサンプルを聞いたら、やりたい仕事に繋がるのでしょうか?
狙っている作品媒体があるのであれば、それに合ったボイスサンプルを作るべきです。
また同じ設定で作ったとしても、コメディなのかシリアスなのかでも変わります。
ラブストーリーなのか、サスペンスなのか、ホラーなのか。
ジャンルによって作品にあった演技プランにする必要もあるため、意識してボイスサンプルを作りましょう。
まとめ
以上6つのポイントを踏まえることで、ボイスサンプルの演技の精度を高めることもできます。
- キャラクターの性格から作る
- 人物設定から作る
- 状況や場面設定から作る
- 声質から作る
- 感情から作る
- ジャンルから作る
この6つのポイントが曖昧になると、ボイスサンプルの演技プランも曖昧なものになりやすいのです。
短い中にギュッと詰め込まなければならないボイスサンプルだからこそ、細かいところにまでこだわって作っていきましょう。
それぞれを復習していきましょう。
オリジナル原稿のメリット
- 自分の演じたいキャラクターを演じることができる
- 自分の苦手な言い回しを避けることができる
オリジナル原稿を作るための6つのポイント
1.キャラクターの性格から作る
→ポジティブな性格、ネガティブな性格、その他様々な性格から原稿を作る。
・ヒーローやヒロインをやりたいのであればポジティブな性格を
・ライバルや悪役をやりたいならネガティブな性格を
2.人物設定から作る
→性格ではない、身体的特徴や職業、立場から原稿を作る。
3.状況や場面設定から作る
→演じてみたいシーンや、言ってみたいセリフから考える
・実際のアニメや漫画、映画からシーンを拝借して脚色する
・実際の作品のセリフのシーンを拝借して作る
そのまま使うのは著作権の問題になるので、必ず脚色しましょう。
4.声質から作る
→ハスキーボイス、クリアボイスなど地声成分から作る
・しゃがれ声や太い声、細い声なども使い分ける
・高音から低音まで、ピッチの違いで演じ分ける
5.感情から作る
→喜怒哀楽だけが感情ではない
→声質+感情表現ができて、声のコントロールとなる
・ネガティブな感情もポジティブな感情も、演じ分けられるようにする
・シーンと合わせて考えることでセリフに落とし込みやすい
6.作品媒体やジャンルから作る
→アニメや洋画など媒体によって作るボイスサンプルは違う
・自分の出演したい媒体のサンプルが必要
・作品のジャンルによっても演技プランが変わる
上記6点を意識して、是非オリジナル原稿を作り上げてください。